西洋の建築の歴史9
第9回目は、ルネサンス建築についてです。
「ロマネスクよりもゴシックよりも、ローマ建築をもう一度復活させよう!」
と、過去のローマ建築が見直され、古典系建築が「ルネサンス建築」として復活します。
ルネサンス期の人々は、ローマ建築こそお手本にするべき様式だと考え、ローマ建築の技術を真似て建物を作りました。
ルネサンス建築は、15世紀中頃にイタリアから始まり、
『ルネサンス』=『再生』を目指し、所々にローマ建築にない新しい技術を導入してあり、ローマ建築とは異なる建物になっています。
また、16世紀後半のルネサンス末期はマニエリスム(マナリズム)時代と呼ばれます。
ルネサンス様式の特徴は、一言で言えば、「端正かつ華麗」。
垂直線を強調する「ゴシック様式」に対して、
水平線や半円を取り入れた軽快でバランスのとれた建築様式が「ルネサンス様式」の特徴と言えます。
★ルネサンス建築の3つの特徴★
・シンメトリー(左右対称)とバランス(調和)を重視。
・全体的に凝りすぎずシンプルで合理的な造り。
・「クーポラ(丸屋根)」が見られる。
ルネサンス様式の代表建築:サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(通称:イタリア・フィレンツェのドゥオモ)です。
映画やドラマで目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
フィレンツェの大富豪、事実上フィレンツェを支配していたメディチ家の発注によって建てられた、
初期ルネサンスの代表的な建築物のひとつです。
石積みのドームとしては、現在でも世界最大の規模を誇ります。
当時の工法ではクーポラを地上で造ってから載せないといけないため、大きなクーポラは造ることが困難でした。
古代ローマの技法を学んだ建築家フィリッポ・ブルネレスキが、「二重殻工法」という工法を編み出しました。
「二重殻工法」の原理はシンプルで、「2本の弧を組み合わせる」ことでドームを内側と外側に分かれさせ、弧の間に階段が組まれて頂上へと続きます。
壁を二重構造にしたことにより、ブルネレスキは梁を使わずに巨大な空間を作り上げることができました。
↓イタリア・フィレンツェのドゥオモの写真
ルネサンス様式の代表建築:テンピエット(イタリアのローマ)です。
ルネッサンスの巨匠D・ブラマンテ(ドナト・ブラマンテ)が、1502年から1510年頃にかけて設計し建築しました。
ローマのサン・ピエトロ・イン・モントーリオ教会堂の中庭に建てられた殉教記念堂で、当時は聖ペテロの殉教地と信じられていました。
小さいながらも、シンメトリー、円形平面の建築で、ルネサンス建築の要素が詰まっています。
ルネサンス時代の建築家は「円」こそが人体と宇宙を調和する象徴する理想図形だと考えていました。
セント・ポール大聖堂やサン・ピエトロ大聖堂までも、このテンピエットを参考にして建設されたと言われているほどです。
シンメトリーの与える端正さ、
クーポラから感じる華麗さ、
計算された建築の中にも、
凝りすぎない調和が見られるため、
親しみやすさを人々に感じさせます。
それ故、街に馴染んだのではないでしょうか。
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