西洋の建築の歴史10

2023年4月4日(火曜日)

第10回目は、バロック建築についてです。
ルターの宗教改革によって市民にキリスト教会への疑問が噴出します。
こうして、カトリックから離れ、ルターの主張よりプロテスタントという宗派が確立していきます。
プロテスタントとは「抗議」を意味するラテン語です。

 

ローマ・カトリック教会は信者の心をとらえるため、PR作戦を展開して威厳の回復を図りました。
大聖堂や教会の改築や建築をスタートし、教会の中に入るなり信者を大きく感動させることができるような空間を造ることを建築家に求めました。

 

古典的な調和と均整を求めた「ルネサンス建築」とは対照的に、
動的でドラマティックな表現で、見る者に刺激を与えることを重視したのが「バロック建築」です。
装飾性が高いため、建築家の高い能力が求められるだけでなく、建築にあたり、莫大な資金が求められました。
教会だけでなく宮殿など、財力と権力を誇示するスケールの大きな建造物がバロック建築の大半を占めます。

「バロック(baroque)」言葉は「ゆがんだ真珠」を意味するポルトガル語に由来し、過剰なまでに豪華な装飾を皮肉られてこう名付けられました。

こうして、バロック建築は16世紀末にイタリアで生まれ、ヨーロッパ各地に普及していきました。

 

★バロック建築の特徴★
・凹凸の強調
・うねる曲面
・楕円
・過剰な装飾
・光と影のコントラスト
・中心軸の強調
・空間的抑揚

バロック様式の教会内部は、金ぴかと彫刻でとにかく派手な演出です。
ルネサンス建築が理想とした規則正しい繰り返しのリズムはなく、バロック建築には、躍動の美学が存在します。

 

バロック様式の代表例:サン・ピエトロ大聖堂(バチカン市国南東端にあるカトリック教会の総本山)
クーポラ(丸い屋根)が特徴のルネサンス様式の要素と、曲線や美術が特徴のバロック様式の要素がリミックスされています。
クーポラはミケランジェロが設計しました。直径40m以上で、ローマの街のどこからでも見えるくらいの迫力です。
正面のファサードはサン・ピエトロ広場に面し、8本の円柱と9つのバルコニーで構成されます。
聖堂の中には11の礼拝堂、45の祭壇が据えられ、芸術家「ラファエロ・サンティ」のモザイク画などを見ることができます。
広場は楕円形であり、バロック以前に一般的に用いられた丸や三角、四角といった純粋幾何学とは一線を画した造りとなります。
聖堂の入口につながる階段、サンピエトロ広場を囲む列柱廊はバロック期の芸術家「ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ」によって設計されています。
ベルニーニは視点から遠い対象物を大きく、近い対象物を小さく描写する「逆遠近法」を用いました。
「逆遠近法」は、日本の近世の絵巻物や浮世絵などにも見られ、
浮き彫りの物理的な凹凸と描かれた空間の凹凸を反転させる表現技法です。
逆遠近法を用いることにより、
躍動感を空間で演出できた、と考えられています。

 

サン・ピエトロ大聖堂は、今の姿に至るまで、多くの教皇・芸術家が関わり、
外観も内装も豪華で、
経緯も紆余曲折あり、
今も訪れる人を魅了する、
ドラマチックな建築物です。

 

豪華絢爛で、
佇まいからも、内装からも「神様すごい、教会すごい」と思えるような
動的な建築物です。

↓サン・ピエトロ大聖堂

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