西洋の建築の歴史5
第5回目は、初期キリスト教建築についてです。
ローマ帝国皇帝の都合で突如国教として公認されたキリスト教でしたが、それ以前は激しく迫害されていました。
せっかく国教になったのでこのチャンスを逃さずに、なるべく多くの国民にキリスト教を布教しなければなりません。
信者たちが「キリスト教の教義や典礼に最も適した建築様式を創り出さねば」と考え、とりあえずローマの各都市に建てられていた長方形の集会施設(バシリカ)を代用していきました。
初期キリスト教の教会堂は大まかに、「バジリカ式」と「集中式」に分けることができます。
・バシリカ式教会堂
古代ローマの集会場であるバシリカを継承した長方形の教会堂です。
身廊の両側に、列柱で隔てられた側廊、正面奥に半円形平面の後陣を持つ平面構成です。
身廊の天井は一段高く、側壁に高窓があります。
後に交差廊を加え、ラテン十字形を基本とする形式をとるようになります。
バシリカ式は、「手前と奥」という水平軸により構成されています。
・集中式教会堂
円形・正多角形を基本とする教会堂です。
教会堂のほか、洗礼堂、墓廟としても用いられました。
集中式の建物はきわめて古くから造られている。
集中式は「地面から空」に向かう垂直軸により構成されます。
初期キリスト教建築の代表例がサンタ・マリア・マッジョーレ教会堂です。
聖母マリアに捧げられたサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂は、ローマ四大バジリカのひとつで貴重なモザイクやベルニーニの墓などを見ることができます。
今も現存しております。
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂は、5世紀以降増築が繰り返されたため、様々な時代の要素を見ることができますが、
内部は初期キリスト教時代の様式で、古代の多目的ホール「バジリカ」の長方形の平面を取り入れています。
フィレンツエのサン・ジョバンニ洗礼堂は、「集中式」です。
初期キリスト教建築ではありませんが、1059年に着工し、
大聖堂の正面玄関に向き合って立っている八角形の建築物です。
ロマネスク様式の集中形式の教会建築のひとつです。
神々しさと美しさ、
荘厳な雰囲気を醸し出しながらも
どこか見守られるような優しさ…、
キリスト教徒でなくても、
思わず祈りを捧げたくなるような、
建築物です。
↓写真は、サン・ジョバンニ洗礼堂
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