西洋の建築の歴史11
第11回目は、ロココ様式についてです。
「ロココ」は18世紀のフランスを中心に発展した、バロックに続く美術様式を指します。
バロック全盛だったルイ14世の時代には、絶対王政を賛美するような重厚で壮麗な美術様式が
流行りました。
1715年にルイ14世が亡くなると、その反動として、繊細で優美な美術様式が登場します。
それがロココ様式です。
ルイ15世の時代に最盛期を迎えました。
「ロココ」は、岩を意味する「ロカイユ」という言葉に由来しています。
ロココ様式の特徴は優美な空間を生み出すことです。
室内ではS字やC字の優雅な曲線を使って、繊細なインテリア装飾が施されます。
リボンで飾った花飾り、葉飾り、貝殻装飾が目立ちます。
ロココ様式で建設された例は少なく、
バロック建築を改修して
広い室内を小さな部屋に分割し、
ロココの装飾を施したものがほとんどです。
ロココ様式の代表例:
ヴェルサイユ宮殿の離宮 プチ・トリアノン(フランス)
ポンパドゥール夫人のために作られた離宮です。
室内には優雅なロココ装飾が施されています。
ルイ15世の死後、ルイ16世の統治時代に当時19歳だった王妃マリー・アントワネットに私的な宮殿として与えられました。
マリー・アントワネットのイニシャル(M・A)が繊細なガーランド(装飾品)に囲まれています。
マリー・アントワネットの寝室の装飾はバラがたくさん!
ベッドの天蓋もベッドカバーも、カーテンも椅子も、そのすべてに大小のバラのブロドリー(刺繍)が施されます。
「王妃の劇場」は、革命家の目には止まらず破壊されなかった貴重な建造物です。
外観は普通の白っぽい建物で、劇場という感じはしませんが、内部はオペラ座のような豪華絢爛さ!!
マリー・アントワネットのイニシャルが舞台上方で輝きます。
天井には太陽の神アポロンと三美神が描かれ、
ミューズ、天使、ガーランドがそこかしこにあり、
まばゆいほどの装飾に包まれています。
劇場の建築は、マリー・アントワネットの発想によるものです。
劇場で、マリー・アントワネットは、素朴な身なりの素朴な女性を演じたそうです。
マリー・アントワネットの美意識と行動力を窺い知ることができます。
↓プチ・トリアノン
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