「賃貸住宅管理業者」として ~「「かぼちゃの馬車」事件」~②
前回は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」法律の背景・目的とサブリース契約の問題点・トラブルをご紹介いたしました。
今回は、この「サブリース契約トラブル」の発端となった事件をご紹介いたします。
「かぼちゃの馬車」事件
皆さま、「かぼちゃの馬車」事件をご存知でしょうか。
これは2018年に社会現象となり、不動産業界・不動産投資に対するマイナスイメージの基
となってしまったであろう事件です。
概要
S会社(仮名)という不動産会社が取り扱っていた、「かぼちゃの馬車」という女性専用シェアハウス。
インターネットや光熱費を含んだ家賃は安く、「トランク一つで即入居可」という宣伝文句通り、
地方から上京してきた女性たちに人気の物件でした。
その人気さから、都内を中心に約800棟もの「かぼちゃの馬車」が建築され、数100名もの投資家たちが
物件を購入、運営しておりました。
S会社は「かぼちゃの馬車」を購入したオーナー様たちとサブリース契約を締結しました。
内容は、空室リスク、家賃滞納リスク等の回避の他、入居者募集や管理業務の委託、更には利回り約8%を約30年間得られるという、
夢のような条件を提示したのです。
しかし、その契約内容はS会社の首を絞めてしまう結果となりました。
S会社からオーナー様へ支払う家賃が、入居者からS会社へ入る収益より高くなってしまったのです。
(これを「逆ザヤ状態」といいます)
それにより、資金繰りの悪化を招き、オーナー様への支払いが滞りが発生。
更には、S会社による不正な審査書類の作成及び金融機関への提出、建築請負のキックバックの割り増し等が発覚。
負債額は約1,053億円にも膨れ上がり、2018年5月、S会社は破産手続きをとることになりました。
不動産業界・社会への影響
「かぼちゃの馬車」事件以降、事件に関与した地方銀行は行政処分され、
金融機関による投資物件への融資基準・審査は、非常に厳しくなりました。
例:収益不動産会社の検証
物件価格の検証
オーナー様となる人の資産状況の確認
オーナー様への返済不能リスク、金利上昇リスクの承諾
又、この事件により不動産会社への風当たりは強くなり、不動産業界全体の信用イメージダウンとなりました。
「かぼちゃの馬車」のその後
「かぼちゃの馬車」のオーナー様はその後、宿泊施設や施設、他法人の寮として貸し出し、運営を行っております。
一部のオーナー様は被害者の会を設立し、弁護団と共に事件へ関与した地方銀行と和解後、海外のファンドに物件を売り、
事業の再生を目指しております。
この事件からの教訓
・「サブリース契約」自体は決して悪ではない
上記の事件によりサブリース契約に悪い印象を持たれる方も多かったかもしれません。
ですが、何事もメリットとデメリット、両方が存在します。
メリット:空室リスクの回避
家賃滞納リスクの回避
入居者募集、管理の委託 etc
デメリット:契約内容によっては、サブリース契約の解約が起こる
家賃相場の変動による減額
提案された高利回りの保証による事業者の破綻 etc
いかがでしたでしょうか。
上記の事件のような損害、損失を防ぐためには、高利回りだけに注目するのではなく、
立地の視察や契約内容の確認、業務内容、金融機関の融資条件の確認を行うことが大切です!
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